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Deadline 9.0.0.18

概要

Deadline 9.0は、Thinkbox Software社が開発したスケーラブルな大容量演算管理ソリューションの最新バージョンで、既存のDeadlineレンダーファームのセキュリティを強化するための新機能を導入しています。Deadline Repositoryのインストーラは、MongoDBデータベースのSSL有効化バージョンをインストールし、オプションでパスワードロックができるSSL証明書を使用してデータベースに接続 するようにDeadlineのデフォルトを設定します。また、分散デプロイメントのサポートを向上するための新しいインストールと設定オプションが追加されました。

DeadlineのRemote Commandシステムにも改善が施されました。Remote Commandが暗号化され、検証チェックはコマンドが送信者から発信されたことと、その送信者が同一のRepositoryに接続されていることを確認します。Remote CommandリダイレクションもDeadline Pulse経由で対応可能になり、Remote Commandを異なるサブネット上で安全に送ることが可能です。

デリバリーの自動処理を行うDeadlineのプラグインであるDraft と、Autodesk Shotgun、ftrackおよびNIMを含むプロジェクト管理アプリケーションに対して、共通のインターフェースが全てのサブミッタに含まれるようになりました。また、Altus、Cinebench、ClarisseのCNode、Composite 2017、Corona 1.4&1.5、Episode、KeyShot、Media Encoder 2017、Microstation CONNECT、Redshift for Houdini、Redshift Standalone、Silhouette、SketchUp 2017、V-Rayのvdenoise、そして VRED 2017.1&2017.2を含むアプリケーションおよびレンダラーに対するサポートも追加されました。V-Ray DBRのサポートがmodo および Rhino 5に含まれるようになり、3dsCmdプラグインがDynamic V-Ray DBRのオフロードに対応するようになり、V-RayスタンドアロンサブミッタがFoundry社のNUKEに追加されました。MayaからエクスポートするRedshiftとHoudiniからエクスポートするRenderManに加えて、Redshift for Maya向けのJigsawレンダリングとCinema 4DおよびVRED向けのタイルレンダリングが含まれるようになりました。

従来のフローティングライセンスをご使用の場合、Deadline 9.0のライセンスが必要となります。尚、Usage Basedライセンスをご使用の場合は、すでに購入済みのレンダリング時間は、そのままご使用頂けます。さらに、Deadline 9.0に付属するDraftのバージョンは1.6にアップグレードされているため、こちらも新しいライセンスが必要となります。DeadlineおよびDraftのライセンスアップデートをご希望の方は、こちらまでご連絡ください。

注目すべき機能

以下は、Deadline 9.0の注目すべき機能です。リリースノートの全文については、Deadline 9.0 User Manual (英語)を参照してください。

SSL有効化MongoDBデータベース

Deadline Repositoryのインストール時に、新しいMongoDBデータベースのインストールオプションを選択すると、インストーラがMongoDBのSSL有効化バージョンをダウンロードし、インストールするようになりました。デフォルトでは、インストーラは、MongoDBがSSL証明書の認証を要求するように設定し、Deadline Clientのインストールで接続に使用することができるクライアント証明書を保存します。クライアント証明書は、必要に応じてオプションでパスワードロックをかけることができます。

Deadline Clientをインストールする場合、またはSSL証明書の認証を要求するRepositoryに接続する場合、Repositoryのインストーラが保存したクライアント証明書のパスを指定し、必要に応じてパスワードを指定するだけで実行できるようになりました。

セキュリティが重要でなければ、認証を有効化せずにMongoDBデータベースをインストールすることもできます。これにより、Deadlineのインストールで、Deadlineの以前のバージョンのようにデータベースに接続することができます。

新しいインストールと設定オプション

以前はハードコード化されていた、いくつかのDeadlineのシステムパスの再パス設定に新しい環境オプションが追加されました。これには、Log、System Configurationファイル、User Configurationファイルの場所の他、Customスクリプトやプラグインに対してチェックされた場所などが含まれます。これらの環境変数の一貫性のある設定を簡単に行なえるように、LinuxおよびMacでのDeadline Clientアプリケーションの起動に必要なシェルスクリプトが、binディレクトリ内にある正しい名前の*.configファイルをソースにするようになりました。

これらの新機能の背景にある考え方としては、Deadlineが様々なファイルベースの依存関係を保存し、検索する場所をもっと制御したいと思っているクライアントに対して、より柔軟性を提供するということです。わかりやすいサンプルとしては、個々のブレードに永続性記憶装置用の大きな専用ハードドライブがないLinuxでの集中インストールのセットアップが挙げられます。

その他の細かい変更としては、このような設定に対応するために、Deadline Clientインストーラに追加されていた“Binaries Only”や“No Binaries”モードなどが追加されました。

Remote Commandの改善

Deadlineアプリケーション間に送られるRemote Commandが暗号化されました。また、送信者から発信されたコマンドと、その送信者が同一のRepositoryに接続されていることを確認するために検証チェックが追加されました。これにより、権限のないソースからコマンドが送られることはありません。

さらに、Deadline Pulse経由で間接的にRemote Commandをリモートマシンへ送信するオプションも追加されました。この新機能の背景にある考え方としては、ユーザマシンとファームマシンのサブネットが完全に分かれているクライアントに対して、これらのマシンの限られた制御をユーザに与えるメカニズムを提供することにあります。これは、まず、Pulseへコマンドを送ることにより機能しますが、両方のサブネットのビューやアクセスが可能なマシンでセットアップする必要があり、その後、対象となる受信者へコマンドを転送することになります。

最後に、シャットダウン/リスタートマシンのリモートコマンドが改善され、専用の‘Check for Upgrade’コマンドが新しく追加されました。

ユーザインターフェースでの検索オプションの改善

テキストを重視した多数のUIパネルで使用される“Find”ダイアログがアップデートされ、最新の検索インターフェースで一般的に求められるいくつかの機能が組み込まれました。これには、Regular Expressions、Case-Sensitive、Whole-Word検索の使用の切り替えなどが含まれます。また、現行の選択のみでの検索や、検索されたテキストをもう一度最初から(ラップアラウンド)検索するオプションもあります。

標準的な検索エクスペリエンスを向上させる試みとして、可能な場合、Findインターフェースがテキストパネルにドックされます。また、すべての検索の一致結果がハイライトされるようになり、一致した合計数が(現在選択されている一致結果の位置と共に)表示されるようになりました。

サブミッションスクリプトに対する統合パイプラインツールの新しいインターフェース

すべてのサブミッタには、ポストプロセッシングおよびプロジェクト管理に対する共通の“Pipeline Tools”インターフェースが含まれるようになりました。すべての共通オプションは、このインターフェース内に移動しました。また、このインターフェースはサブミッタ以外にも多数追加されました。この新しいインターフェースには、Draftポストプロセッシングツールの他、Shotgun、ftrack、NIMに対するプロジェクト管理サポートも含まれます。

Draftサポートも改善されました。Draftのフロントエンドである“Quick Draft”の使用により、カラースペースのトランスフォーメーションを指定することができるようになり、フレーム番号やタイトルなどの注釈テキストをDraft出力に直接追加できるようになりました。プロジェクト管理サポートでは、多くのユーザエクスペリエンスも改善されました。

AWS SPOT FLEETのサポート

今回のリリースでは、新しいAmazon Spotイベントプラグインが追加されました。これにより、Deadlineのレンダーキューでジョブに基づいてFleetサイズが自動的にスケーリングされるため、処理の軽いAWS Spot Fleetのインスタンスをうまく利用できるようになります。これらのインスタンスはいつでも終了させることができます。現在のところ、Deadline Balancerシステムは、Spot Fleetsが動作する方式と互換性がないため、この機能はイベントプラグインとして実装され、このプラグインの設定は、Cloud Plugin設定ではなく、Event Plugin設定経由で行なわれます。結果として、Spot Fleetインスタンスは、Deadline MonitorのCloudパネルには表示されません。

新しいアプリケーションサポート

Altus、Cinebench、ClarisseのCNode、Composite 2017、Corona 1.4&1.5、Episode、KeyShot、Media Encoder 2017、Microstation CONNECT、Redshift for Houdini、Redshift Standalone、Silhouette、SketchUp 2017、V-Rayのvdenoiseに対するサポートが追加されました。Draftも、バージョン1.6.1.1にアップグレードされました。

modoおよびRhino 5向けのV-Ray DBRなど、V-Ray Distributed Bucket Rendering (DBR)にも多くの改善が施されました。3dsCmdプラグインは、Dynamic V-Ray DBRのオフロードをサポートするようになり、V-RayスタンドアロンサブミッタがNUKEに追加されました。

最後に、3ds MaxシーンファイルのコンテンツのPath Mapping、Redshift for Maya向けのJigsawレンダリング、Maya向けのローカルアセットキャッシュ、Cinema 4D向けのタイルレンダリング、VRED向けのタイルレンダリング、MayaからエクスポートするRedshift、HoudiniからエクスポートするRenderManなどに主要な改善が施されました。新しいAmazon Spotイベントプラグインも追加され、ファームのジョブに基づいてSpot Fleetでインスタンス数をスケーリングできるようになりました。